「御手洗潔 対 シャーロック・ホームズ」 柄刀一

ハードカバーですが、中身は御手洗もののパスティーシュ短編二本にホームズもののパスティーシュ短編二本、そして、御手洗VSホームズの中編一本です。もう…、何も言いません。柄刀さん万歳(笑)
いや、もうほんとに。柄刀さんったら、御手洗&石岡くんのことも、ホームズさん&ワトソン君のことも分かってらっしゃる!(感涙)特に御手洗ものの方は、島田荘司が書いたと見まごうばかりの作品です。ホームズの方も、現代の日本に舞台を移し、ちょっと皮肉を効かせつつも、ホームズの推理法を見事に再現しています。時代の問題とかも上手く(?)誤魔化してたし。まあ、むしろ一番の謎は、現代のイギリス人が何故いきなり現れたホームズを素直にホームズ扱いしてるんだ、って点のような気もしますが、そこはまあ気にしないことにして(笑)
あれですね、最近柄刀さんは比較的量産体制に入って来ているようですし、年のうち半分くらいは島田荘司ゴーストライターしたら、御手洗ファン(主に女性)は小躍りして喜ぶんじゃないでしょうか(笑)
ほんと、見事にキャラが書けてるんですよねー。普段の作品では名探偵をキャラ立ちさせようとしてもイマイチ出来てない感があるくらいなのに…。バレンタインにチョコを欲しがるホームズさんとか、見てみてぇ(爆笑)
……が、結局はそんな(色々な意味で)素晴らしい作品群も、島田荘司による解説「石岡和己 対 ジョン・H・ワトソン」に全てを食われてしまうわけですが(苦笑)
最後のあたりなんて、
 御手洗&ホームズ『…もう、いいかげんにしたまえよ、君たち』
 ワトソン「だってホームズ!」
 石岡君 「だって御手洗!」
という、その後のやりとりが目に浮かんでしまって(笑)しばらく笑いが止まりませんでした。やはり島田荘司は最強だったか…。
と、いうわけで。ホームズand御手洗ファンには文句なしにオススメの一冊です。