「シャーロック・ホームズの功績」 アドリアン・コナン・ドイル, ジョン・ディクスン・カー

シャーロックホームズの功績 (ハヤカワ・ミステリ 450)

シャーロックホームズの功績 (ハヤカワ・ミステリ 450)

ドイルの息子とカーによって書かれたパスティーシュ。共著が六作とドイルの息子だけによる作品が六作。作者が作者だけあって、パスティーシュとしての出来はかなり良い感じです(ミステリとしての出来はさておき・苦笑)。ネタをいちいち聖典から取ってるあたりもポイント高いです。
ミステリとしての出来や小説としての出来は、やはり前半の共著作品の方がいいですね。後半の共著でない作品は、何か過剰に聖典を模倣しているような雰囲気があります。でも、キャラ読み的にはそっちの方が楽しかったりするんですが(笑)主にホームズさんの台詞が。新婚さんのワトソン君に、「君がいなきゃ始まらないよ、奥さんには書き置きでもしておけばいいじゃないか(強制)」(意訳)とか、あまりにも無能な田舎警官に出くわして、「君の価値が分かったよ…」とかとか。結構酷いこと言ってます(苦笑)でもそれが微笑ましいというか何と言うか。
本当の意味で出来のいいパスティーシュと、ある意味出来のいいパスティーシュと、一冊で二度美味しい本かもしれません。