「国家の品格」 藤原正彦

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

読み終えての感想は、正直、気持ち悪い。多分、肌に合わないのだと思います。
言っていることはわりとまとも。同意できる点も多々ある。でも、わざわざここまでして語ることか?という気もする。同じ内容を、大学の先生が授業で雑談として語ったり、会社の社長とかが朝礼で語ったりするなら納得できるけど、こうして本にして、ベストセラーになるほどのものだろうか?それとも、新書ってそんなものなの?普段読まないのでイマイチ分かりませんが。
受け入れられない理由の大半は、最初に書いたことに集約される気がするので、細かく語るのは避けますが、気になった点をいくつか。まず、無駄なギャグはやめて欲しい。どうやら、講演を本に起こしたもののようだけど、講演なら流してもらえるギャグも、活字にすると痛すぎます。あと、「論理はだめだ」というのを論理的に語るのはいかがなものか(笑)その矛盾を狙ってるならいいけど、そんな感じではないよなぁ?それと、日本の古典文学云々、の話はちょっと検証が足りない気が。よほどの文学好きでなければ、5世紀から15世紀までにヨーロッパが生んだ文学作品を3つ以上はあげられないが、日本のものならいくつもあげられる、というのは、我々が日本人だからでは?でもって実際に文字になった文学作品が少ないとしても、それだけで文化の成熟度を測りきれるとも思えないし。日本語自体がそもそも文字に偏った言語(≒文学に向く言語?)だということも考え合わせなければならない気もする。(識字率云々の話も同様)たとえ結論が正しかろうと、挙げられている傍証がひどく主観的で受け入れにくいものばかりだと、結論まで疑わしく感じられるものです。つか、この人は「日本の品格」を語るのに、わざわざ外国(≒米国・欧州)を貶めないと語れないのか?これこそが「日本」の品格だ、というのを語るのに比較は避けられないとしても、そこに優劣を持ち込むのは何か間違っている気がしますよ。
ああ、やっぱり気に入らない本って感想が長くなるなぁ(苦笑)