「φは壊れたね」 森博嗣

Φは壊れたね (講談社ノベルス)

Φは壊れたね (講談社ノベルス)

非常に評判の悪い(苦笑)Gシリーズ第一弾。ミス研では、「いつか、Gシリーズから森を読み始めました!Gシリーズ最高ですよね!とかいう新入生がやってくるのかなぁ」と戦々恐々しております。まあ、今年の新入部員の様子を見る限り、しばらくは大丈夫そうですが。
で、そんな思いで読み始めたことで色眼鏡が入ってしまった可能性は捨てきれないのですが……、やっぱ、薄いような。分量が、というのではなく(実際、分量もかなり少ないのですが。長編というよりは、中編くらい?)内容が。事件自体は結構異様だし、真相も異常といっていい程で、そのへんは森ミステリィ全開なのだけど、何か…軽い。それが森の言うところの、余剰をそぎ落としたとか無駄な部分を減らしたとかいうことなのでしょうか。元々ミステリなんて(というか文学自体が)余剰と無駄の塊みたいなものだと思うんだけどなぁ。
「新しい」シリーズを目指したにしては、かなり初期で西之園萌絵を出してしまったのも敗因かなぁ。一冊くらい我慢すれば良かったのに。それによって旧来の読者としては目線が萌絵の周辺に行ってしまって、結果として新シリーズの中心であるはずのキャラクターたちの印象が薄くなった気がします;てか、ここまでするなら逆に犀川先生もっと出しちゃえばいいのに。何か中途半端なんですよねぇ。森にしては。