「象牙の塔の殺人」 アイザック・アシモフ

象牙の塔の殺人 (創元推理文庫)

象牙の塔の殺人 (創元推理文庫)

大学の化学実験室で学生が死んだ。事故なのか殺人なのか。事件の真相と象牙の塔での権力争いに指導教官であるブレイドが挑む……。
ということで、アシモフの長編ミステリ。基本的にフーダニット…なのかな。ホワイダニットの部分も大きいですが。まあ、主人公が化学者なだけあって、論理展開は非常に論理的です。謎を解くために捜査を進めていけば行くほど増えていく謎と、大学内での昇進問題で主人公ががんじがらめになっていく様子の連動が物語としてもいい雰囲気を出しています。
ちなみに、解説では出版の30年も前に書かれた作品なのに古くない、ということを強調しているのですが、実質50年経った今でも、やっぱり古くないです。さすがアシモフ…、なのか、大学という場所の体質が50年経っても変わらないというだけなのか(苦笑)前者だといいんですけどね。