「薬指の標本」 小川洋子
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/12/24
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 124回
- この商品を含むブログ (310件) を見る
舞台となる、人々の思い出を保存する標本室や、人々がやってきて独りで言葉を紡ぐためだけの六角形の小部屋は都市伝説のようにひっそりと存在し、人々を癒していく存在なのですが、癒されると同時にそんなものとそれらを営む人間に囚われていってしまう女性達が主人公。
淡々とした文章で語られる物語は、わりと生々しいにも関わらず現実感があるような無いような、不思議な作品です。何だか…、まるで水の中から外の風景を眺めているような、そんな乖離感と静かさがあります。とても…、不思議な作品でした。
読み終えて、著者紹介のところを見たら、「博士の愛した数式」の作者さんなんですね。何となく納得。