ミステリマガジン No.599

言わずと知れた(?)シャーロック・ホームズ特集号ですv
パスティーシュと関連記事が掲載されているのですが、パスティーシュ以外の記事のほうは、ホームズ特集というよりは、ドイル特集といった感じで特に個人的な収穫は無かったのが残念。解説で紹介されているパスティーシュや全集の情報はいつか活用できるといいなぁ(遠い目)
とりあえず、パスティーシュは全部読んだので、一言コメントでも。

ヴェストファーレンの指輪」ジェフリー・ディーヴァー

さすがJ.D、という感じ。ひっくり返し方が見事です。要約してしまうとホームズが得意の科学捜査を逆手に取られるという話で、ある意味ホームズはコケにされているわけで、そのあたりの部分に自称ホームズファンとしては引っかかりを覚えないわけではないのですが。まあでも、犯罪者が科学捜査を逆手に取る、というのは現代のミステリでは良くあるネタであって、それをホームズものに適用するというのはなかなか面白いと思いました。それをリンカーン・ライムシリーズの作者が書く、というのにも十分意味があると思うし。外から見たホームズとワトソン、という視点も嫌いではないです。(以上、ネタバレ自粛…、になっているかなぁ)

「疲れた船長の事件」ルネ・レウヴァン

かなり正統派なパスティーシュ。でもって、オチは「そうくるか!」という意外な人物が。少なくとも「リーグ・オブ・レジェンド」を楽しめる人にはお勧め。

「幽霊探偵スケリントン・ボーンズ」デイヴィッド・スチュアート・デイヴィーズ

ううん。見事にくだらないパロディ。こういう系のパスティーシュは初めてだったので(というか避けてきたので)ちょっと新鮮でしたね。適度に小ネタも入れてあって、楽しめました。

「ベイカー街のはみだしもの」キャロル・ネルスン・ダグラス

これも、第三者視点のパスティーシュ。ていうか猫視点(笑)猫のふてぶてしさが何とも言えません。事件自体も十分にホームズものらしい事件なので、猫視点になった時の落差が面白いのかな。

「荒野のホームズ、グスタフ・アムリングマイヤー」スティーヴ・ボッケンスミス

ホームズ信者な西部の元カウボーイが事件に遭遇してホームズばりの推理で謎を解いてしまう、という話。個人的には、微妙かな。ちょっとホームズから離れちゃってる感じが。でもまあ、確かにホームズの行動を様式化して、西部風味にしたらこうなるんだろうなぁ、という意味ではそこそこ楽しめました。楽しめたというか苦笑いというか。