「硝子のハンマー」 貴志祐介

硝子のハンマー

硝子のハンマー

完全のはずのセキュリティで守られた一室で、会社社長が殺害された。犯人は一体どうやって殺人を行ったのか?
と、いうわけで、貴志祐介初の「本格」ミステリ。前半は、探偵役になる防犯コンサルタントと弁護士が、仮説を組み立てては崩し、を繰り返し、後半では犯人の過去から現在までを追う形で真相が語られます。なので、結局は「青の炎」っぽい雰囲気が漂いますね。探偵役が真相に辿り着くのも、わりと偶然に助けられた部分が大きいし。
それでも、前半の仮説→否定の連続は楽しいし、前半で示された伏線っぽい要素が、後半で綺麗に回収されているのも気持ちいいです。何より、この形式だと犯行に説得力が出ますしね。貴志さんにはもっとこういう方向でミステリを突き詰めてみて欲しいかも。