「悪魔の涙」 ジェフリー・ディーヴァー

悪魔の涙 (文春文庫)

悪魔の涙 (文春文庫)

今月の読書記録を見たら、あまりに寂しかったので慌てて読了。しかも再読です。何やら無性に読みたくなって…。原稿のための勉強という言い訳も利きますね。
タイトルだけ見るとあまりミステリっぽくありませんが(まあ、JDの作品はいつもそうか;)れっきとしたミステリです。原題は「The Devil's Teardrop」個人的には原題の方が好きですが、カタカナにするとちょっと滑稽かな。ちなみに、リンカーン・ライムとは別シリーズ(といっても、今のところは単発)。文書鑑定士のパーカー・キンケイドが探偵役です。
再読して感じたのは…、エンターテイメントとしての出来の良さ、ですかね。かなり書き込まれているので、実際にはたった半日の話なのに、壮大なストーリーを読んだ気分になります。しかも、それだけ書き込んでいるにも関わらず、リーダビリティは失われていないし。また、視点が犯人・探偵役・FBI捜査官・真犯人(って、ネタバレ?、とはいえ、JDでどんでん返しが無いと思う人はいないだろうから、いいか・笑)の間で何度も移動して、読者には一種の倒叙もののような楽しみもあるわけですが、視点移動によってストーリーがぶれるようなこともないし。強いて気になったところを挙げるとすれば、節ごとの頭に入れてある、時間と事件の経過を示す砂時計&時計が下の方にあるせいで、殆ど効果を発揮してなかったことですかねー。どうしても新しいページに行くと、視点は上に向かうので。もう少しレイアウトを考えても良かったのではないかと思います。まあ、これは作品というより、本に関する難点ですけどね。
あと、キャラクターとしても、キンケイドと捜査官ルーカスのコンビはかなり好きかも。最近のJDはライムシリーズにかかりきりのようですが、出来るものならこちらも続編を出してもらいたいものです。もちろん、ライムシリーズも、ライムとかアメリアとかトムとかトムとかトムとか、大好きなんですが(笑)