「夏季限定トロピカルパフェ事件」米沢穂信

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

米沢穂信の<小市民>シリーズ第二弾。相変わらず小市民にはなりきれていない二人がいます。日常の謎系に分類されるミステリとしての側面も絶好調。個別の作品としてはやはり「シャルット〜」が好きかなぁ。
しかし、前作も含め、この作品を読んでいて感じられるのは、ミステリとしての喜びというよりも、何というか…むず痒さ、みたいな。まあ、一応これは青春小説でもあるわけで。その種のものを読んだときに何ともいえない気分に襲われるのはいつものことなのですが(「密閉教室」とか)。ただ、この作品では、自意識過剰なまでの、<小市民>願望とか、何でもない(かもしれない)日常をミステリ的視点から眺め、したり顔で推理する態度とかとかが、あまりにも自分や周囲の人々に似ているのでむず痒さも倍増。ってか10倍。葛藤とか悩みとか、何となく心当たりがあったり無かったり。こんな彼らを微笑ましく眺められる日はくるのだろうか…。今のところ読むたびに昔の恥を晒されてざくざく刺されてる気分です(大げさ?)
ま、とりあえず続編が楽しみ。(こんなタイトルで、しかもこんな終わり方をして、続編が無いってことはないですよね?)