「カンニング少女」 黒田研二

カンニング少女

カンニング少女

都立K高校三年四組、天童玲美。入試を四ヵ月後に控えた十月、彼女はなんとしてでも最難関私大・馳田学院に合格しなければならなくなった。不慮の事故で亡くなった姉、芙美子の死の真相を探るためだ。玲美が頼ったのは、クラスメイトで成績トップの超優等生、愛香。そこに陸上インターハイ選手の杜夫と、機械オタクの隼人を加えた三人が、彼女の参謀となった。決して成績はよくない玲美。彼らが出した結論は、カンニングによる入試突破だった。ひとりの少女が、前代未聞の闘いに挑もうとしていた。教師に、学校に、そして心の中の何かに、いま玲美は宣戦布告する―。青春ミステリー。

というわけで、黒田研二の最新作。感想を書くことを条件に友人から貸し付けられたのですが……。う〜ん、難しいなぁ。
一応、ジャンルはミステリということにしてありますが、ミステリ?というのが正直なところ。ミステリ的な仕掛けはあるし、それが物語の一つの肝となっているのも間違いないのですが、それがメインかというと……疑問。かといってライトノベルかというと、それも疑問。まあ、ジャンル分けなど些細なことだと言ってしまえばそれまでなのですが。でもそこにこだわるのがミステリ読みなのです(苦笑)
単に小説として評価すれば、カンニングシーンは爽快だし、姉妹の物語と助手の女性の物語を上手く絡ませて感動も十分。本格ミステリ的仕掛けに関しても、景色の反転が鮮やか。……とわりといいとこずくめなんですけどねぇ。まあ、高校生的にそれはどうよ?!なカンニング方法とか、ちょっと無理がある最後の一捻りとか、突っ込めるシーンも十分あるのですが(苦笑)特に、カンニング方法では、技術的なこともさることながら、時間的に無理があるのではないかと思われるのが一つ。30分って、意外と短いですよ?あと、荒唐無稽とさえ言えるカンニング方法に対して、インターネットに関する技術だけは妙にリアルなのは、まあ、作者らしくて微笑ましい、ということで(笑)
ま、気分転換に軽く読めるミステリ風味なライトクライムノベル、といったところですかね。しかし、ここのところの傾向を見ると、黒田氏は東野圭吾的なミステリを目指すのでしょうか?それはそれでいいのですが、恥ずかしいくらいの本格もそろそろ読んでみたいなぁ、と思う今日この頃です。