「逃れの街」

逃がれの街 [DVD]

逃がれの街 [DVD]

北方謙三の原作を映画化した衝撃作。殺人の共犯の罪を負わされた水井幸二は、それを境に周囲から冷たい目で見られるようになる。やがて疑いが晴れたその日、彼は恋人・牧子に付きまとっていた男を殺してしまうのだった。

って、これイマイチ映画の本質を語っていないような;まあ、一言では語れない映画ですが。強いて言えば、何も悪くないのに、ずれてしまった歯車に翻弄され、堕ちて行く男の運命、みたいな。最後には何かから逃れるように暮らしていた街を出て、でも変わってしまった自分と何かからは逃れられなくて。最後は変われなかった優しさゆえに命を落とす、そんな話。
これもまた、不思議な空気を持った映画です。時代……、なのかなぁ。
水谷青年は、もうひたすら殴られてました。上司に殴られ、ヤクザに蹴られ、ぼこぼこ。痛そう…。
因みに観る前に友人と「北方謙三原作……、やたらと仲のいい兄弟分とか出てこないよね?」と言っていたら、本当に出てきました。ひたすら仔犬のように主人公を慕い、主人公に見捨てられて、酒に溺れて肝臓を病み、野垂れ死にするバイク青年@島田紳助。しかも、最後は主人公の手で野焼きときたもんだ。ある意味何よりも衝撃的だったかも。
中盤、変わってしまった主人公が夢を語るセリフ。切ないなぁ。
“働いた金で 小さなヨットでいい 買いたかった 
ヨットは 俺の様な者には 手の届かない代物 すげぇ高いんだ 
ははは カタログだけが たまるだけさ ははは 
しょうがないよな 金が無いんだから”