「黒祠の島」小野不由美

黒祠の島 (祥伝社文庫)

黒祠の島 (祥伝社文庫)

小野不由美の本格推理もの。というか横溝リスペクト作品?
正直あまり面白味は感じられなかったです。
独特の信仰や、余所者に対して排他的ないわゆるムラ文化など、アイテムは揃っているし、書き込まれてもいて雰囲気はあるのですが、やはり、事件と推理がリアルタイムで進まないのが致命的。
横溝ものでも、過去の秘密が〜というものは多々ありますが、その裏の筋と同時に、「現在」の物語もきちんと進行しているので、読めるんですよね。その点、この作品は直近の過去とさらに遠い過去を追いかけるという過去ばかりが推理の対象となっているので。
自分的には臨場感が足りなかったのかな、と思います。
あ、あと探偵役のキャラが立ってないのと(苦笑)
とはいえ、黒祠とか守護さんとかアイテムは充実しているので。民俗学ものや横溝好きには十分お勧めできるかと思います。